日本の所得税は「申告納税制度」を採用しています。申告納税制度とは、納税者自身が所得金額と税額を計算して税務署へ申告・納税する制度です。

所得がある人は、自ら確定申告をして所得税を納めて下さい、ということです。

では、どのくらいの人が実際に確定申告をしているのでしょうか?「国税庁レポート2015」によると、平成26年度に確定申告をしたのは2,139万人とあります。日本の総人口が1億2,730万人ですので、およそ16.8%が確定申告をしていることになります。

たった16.8%しか確定申告していないということは、多くの人が確定申告をせずに所得税を免れているのではないか!と考えてしまいそうですが、そういう訳ではありません。「確定申告をしなくてもよい人」がしっかり定められているのです。

確定申告をしなくてもよい人

・その年中の所得の合計金額が、すべての所得控除の合計額より少ない者、もしくは所得控除額の合計額を超える所得金額に対する所得税が、配当控除額及び年末調整に係る住宅取得等特別控除の合計額以下の者

→ 正しく税額計算したところ納める所得税が発生しないのであれば、確定申告しなくてよいですよ。

・その年中の給与等の収入金額が2,000万円以下で、次の①又は②に該当する者
①給与等を1か所から受けている者で、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の者
②給与を2か所以上から受けている者で次のイ又はロに該当する者
イ.従たる給与等の収入金額と、給与所得及び退職所得以外の所得との合計額が20万円以下の者
ロ.給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下

→ 1か所のみに勤務していて年収2,000万円以下であるサラリーマンは、給与以外に所得がなければ確定申告しなくてよいですが、2か所以上に勤務していたり給与以外にも所得がある場合には、金額がよほど小さい場合を除き確定申告が必要です。

・その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である者

→ 年間400万円以下の国民年金、厚生年金以外に所得がなければ確定申告しなくてよいですよ。

会社の役員である場合など、その他にも細かい規定はありますが、

・所得税が発生しない人
・副収入のないサラリーマン
・副収入のない年金生活者

このような人が「確定申告をしなくてもよい人」に該当します。

それでも申告が必要?

「年金は400万円以下で、それ以外に所得はないので確定申告をしなかったのですが、市役所から申告のお尋ねがきました。これはどうすればいいのですか?」という質問をたまに受けます。

先で説明したのはあくまで「所得税」についての規定です。「住民税」については上記の規定はありませんので、正しい住民税を計算するために市役所への申告は必要となります。

確定申告をするのも市役所に申告をするのも、書式が違うだけで申告の手間は正直ほとんど変わりません。国と地方で足並みを揃えて、納税者にとって意義のある制度にしてもらいたいものです。

(H27.9月 担当:柏原)