土地の有効活用を考えると、青空駐車場は初期コストも余りかからず手軽で、また毎月の賃料も比較的滞納もなく地主としては楽な活用法かもしれません。
しかし、税金を考えると必ずしもベストな土地活用ではないのでは?
どうしてかというと・・・
なぜ青空駐車場ではいけないの?
青空駐車場(ある程度の設備をした駐車場でも)相続税の評価では何もメリットがないのです。
たとえば、その土地をアパートや貸店舗などにすると・・・
① 建物の評価額は建築価額より低くなる。
② 建物の評価額から借家権割合(30%)の減額することが出来る。
③ 土地の更地評価から、(借地権割合×借家権割合)減額が出来る。
④ 敷地が小規模宅地等の減額の対象になる。(200㎡まで50%減額)
このうち①はアパートだけではなく、自宅でも評価は下がりますが、
②~④に関しては、アパート(貸家)だから評価減となるものです。
(④の小規模宅地等については、自宅や事業用建物の敷地と合わせて面積制限あり。また、土地の取得者が申告期限まで保有、貸付事業を継続する必要あり。)
たとえば、
アパートの固定資産税評価額 3,000万円
アパートの敷地(200㎡)の相続税評価額 5,000万円
借地権割合 60%
といった場合には 8,000万円の評価が
I 満室の場合 ① 貸家 3,000万円×(1-30%) = 2,100万円
② 貸家建付地 5,000万円×(1-60%×30%) = 4,100万円
③ 小規模宅地等の減額 5,000万円/200㎡×50%×200㎡ =△2,500万円
合計 3,700万円 となります。
結構な評価減だと思いませんか?
ただし、これはアパートの部屋が全部埋まっていた場合の計算。
たとえば、2割の空き室があった場合には次のようになります。
II 空き室がある場合
① 貸家 3,000万円×(1-30%×80%) = 2,280万円
② 貸家建付地 5,000万円×(1-60%×30%×80%) = 4,280万円
③ 小規模宅地等の減額 5,000万円/200㎡×50%×160㎡ = △2,000万円
合計 4,560万円 となります。
空き室があって収益が悪いうえに、相続税まで増えてしまう・・・
相続税を考えると、なるべく空き室はない方がよさそうですね。
ただし、空き室が一時的なものとして判断することが出来れば満室と同じように計算できる場合があります。
しかし、アパートや貸店舗等が必ず利益を生むとは限りません。
古くなると改修工事も必要となりますし、空き室や空き店舗のリスクもあります。
定期借地契約
土地の活用について、「初期投資をあまりしたくない」という場合には、「定期借地契約」という手もあります。
「事業用定期借地契約」では10年~30年(特約で最大50年)で借地契約を結び土地を貸すことが出来ます。
メリット
・初期投資がかからない
・長期間にわたって安定した賃貸収入
・契約の更新がなく、決められた期間で土地が戻ってくる。
・更地で戻ってくるため解体費用などの費用がかからない。
デメリット
・建物を建てて貸すよりも利回りは小さくなる。
・相続税の評価は通常の借地契約よりも高くなる。
などがあります。
事業用定期借地権の目的となっている土地の評価は
自用地としても評価額-自用地としての評価額×定期借地権の残存期間に応じた割合
となっています。
※定期借地権の残存期間に応じた割合
残存期間が5年以下のもの 5%
残存期間が5年を超え10年以下のもの 10%
残存期間が10年を超え15年以下のもの 15%
残存期間が15年を超えるもの 20%
自分で青空駐車場として貸すよりは、相続税のメリットはあるのでは?
土地の活用に興味がある方は
舟越会計では、「クリニック経営サポートセンター」という部門があり、
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医療機関は比較的、経営が安定するケースが多いので地主さんとしてもメリットがあると思いますのでご興味がある方は
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