前回は、起業時の1.収支計画 2.投資計画 3.資金調達(自己資金)についてふれましたが、今回は資金調達のうち、「金融機関から融資を受ける際のポイント」を挙げてみたいと思います。
1.まず、どこに相談をするか?
お金を貸してくれるのは金融機関ですので、「金融機関の窓口」へ行って「お金を貸してください!」と相談したいところですが、それはあまり得策ではありません。
お金を借りるにはやはり「信用」が第一ですので、「紹介」があると有利であることは間違いありません。
ですので、直接「金融機関の窓口」の門をたたくより、「商工会議所」「会計事務所」などへ起業相談をし、そこから金融機関を紹介してもらう方がかなりの確率で融資の実行を得ることができます。
また、起業相談のプロより客観的な助言も受けることができ、さらに制度融資や優遇金利の情報なども得られ二重にも三重にもお得です。
2.返済期間は長い方がいい? 短い方がいい?
ずばり「長い方がいい」でしょう。
例えば、1,000万円を3年で返すとなると、年間の返済額は約330万円となり、5年で返すとなると、年間の返済額は200万円となります。さらに、これが7年で返すとなると、年間の返済額は約140万円となります。
起業計画どおり順調に利益がでて、返済ができる場合は良いのですが、万が一、予定通りにいかず赤字が続き、返済が厳しくなった場合に追加融資を受けるというのは、当初の融資を受けた時よりかなり条件面では厳しくなると考えられます。
よって起業時はできるだけ返済期間を長く借り、順調に手元資金が積み増されてきた時には繰り上げ返済をする、という気持ちでいることをおすすめします。
3.金利の考え方
一般的に金利は「変動<固定」、「短期<長期」、「担保(保証人)あり<担保(保証人)なし」です。
金利が低いに越したことはありませんが、さまざまな条件を確認した上で、しかるべき金利での借り入れを検討していきましょう。
たとえば、現在の金利情勢は長らく低金利で推移しており、変動金利と固定金利の差があまりありません。起業時はまずは事業を安定させることを優先し、あまり先のリスクをとらずに固定金利を選択することが多いかもしれません。
また、返済期間が長い方が金利は高くなりますが、「金利」の条件よりはまず「返済期間」の条件を重視し、多少金利が高くなったとしても返済期間を長くする方が得策と言えます。
さらに担保や保証人についてですが、できる限り無担保・無保証人となる創業融資を探してみましょう。
確かに担保や保証人を入れることによって金利が下がることがありますが、万が一、返済不能となったときの大きな損失と比べると、ちっぽけな金額でしょう。
起業時の融資は、初めての経験となる方が多いと思います。
有利な条件で融資を受けるためにも、是非、お近くの商工会議所や税理士、中小企業診断士へ相談し、強力な助っ人としてご活用ください!
初出:クラウド円簿(2015.08.11)https://www.yenbo.jp