円簿会計ユーザーさんの中には、そろそろ年度末を迎えられた方もいらっしゃると思います。

個人事業主の方の年度末は毎年12月、法人の方の年度末は、定款で定めた事業年度末となります。

そこで今回は年度末終了後の作業の一つ、ソフトの「年次繰越(次期繰越)」についてふれておきましょう。

年次繰越ってなに?

年の途中で起業された方は、初年度が1年未満となり、翌年度から1年間となる方も多いかもしれませんが、原則、会計年度は1年以内とされています。そして、この会計年度ごとに、帳簿をつけて備え付けておく必要があります。

会計ソフトで記帳している場合も、この会計年度ごとに帳簿を入力作成していくことになりますので、会計年度終了後、次の会計年度分の入力をするためには、新しい会計年度のファイルを作る必要があります。
これを「年次繰越(次期繰越)」といいます。

年次繰越をするタイミングはいつがいい?

1)ほぼ毎日記帳している方

帳簿の達人なあなたは、一刻も早く「年次繰越」をする必要があるので、年度末到来と同時に「年次繰越」をすることになるでしょう。
決算を待たずして「年次繰越」をするため、新しい年度の期首残高がいまだ未確定状態ですが、心配ありません!

多くのソフトは、「残高のみ」を更新する機能がありますので、新しい年度のデータ入力を進めてしまっていても、そのデータを消さずに、決算終了後にもう一度「年次繰越」作業をすることにより、決算後の正しい期首残のみを反映させることができます。

2)「年次繰越」作業を一度で終わらせたい方

少しでも作業を少なくしたい! という合理的なあなたは、決算が確定してから「年次繰越」すると良いでしょう。
決算作業をしていると、勘定科目を新規追加したりするケースもあり、そういった作業も一度で済ますことができます。

ただし、決算確定作業に1ヶ月~2ヶ月近くを要する場合には、その間、新しい会計年度の入力ができないため、やきもきする日々を過ごさなくてはいけなくなるかも!?

早めに年次繰越をしておくメリットとは?

そうはいっても・・・、毎年決算ギリギリになって、「年次繰越」や1年分のデータ入力をしている方もいらっしゃるかもしれません(人のことは言えませんが・・・)。
そこで、早めに年次繰越をして、適時、帳簿をつけておくメリットもふれておきましょう!

1)入力もれ、二重入力が防げる?

特に現金取引の多い方に言えますが、帳簿と実際の現金残高を合わせておくことにより、入力もれや二重入力をチェックすることができます。

この現金残高が合っていると、例えば、「税務調査で、『今日の現金残高は合っていますか?』と確認されたとき」や「泥棒に入られたけど、昨日金庫にいくらありましたか?」など、突然の出来事の際にも対処することができます。

また管理をきちんとすることによって、従業員さんの不正防止にもつながります。

2)他人のためではなく、自分のためである?

帳簿をきちんとつけ、毎月月次の損益をチェックすることは、確かに「新規融資を受ける際の試算表提出がすばやくできる」「税務申告にも必要だから」という理由もあるかもしれません。

でも、これらはあくまで2次的なものであって、一番大切なのは、毎月、月次の数字を把握することで、今後の事業で打つべき手を考える材料ができることです。

この数字の把握は早ければ早いほど、早く打つ手を考えることができ、また状況が悪い時であれば、なお早く打つ手を考え、実際に手を打たなければなりません。

・必要売上(必要利益)はいくらですか?そのためになにをすべきですか?
・借入はいくらしてもいいですか?何年で返済できますか?
・この事業への投資はいくらしますか?回収できますか?万が一の撤退基準は?
・従業員へのボーナスはいくらだせますか?

帳簿をきちんと記帳することで、ご自分の事業の状況を正確に把握し、こういった質問にいつでも答えられる体制を整えておきたいものですね!

初出:クラウド円簿(2015.06.15)https://www.yenbo.jp