前回に引き続き、所得税の確定申告期、真っ只中!ということで、みなさんが頭を悩ませる減価償却についてポイントを整理しておきましょう。
1.10万円以上は原則、減価償却の対象となる
減価償却の対象となるもの=減価償却資産といいますが、具体例としては仕事で使う建物、機械、自動車、パソコン、ソフトなどが該当します。また面白いところでは、牛や馬、栗の木や柿の木などの生物も減価償却資産とされています。
10万円以上のものは原則減価償却をしますが、例外として、20万円未満のもの(一括償却資産)は耐用年数にかかわらず3年間、各年1/3ずつ経費にできたり、30万円未満のもの(少額減価償却資産、青色申告で中小企業のみ、総額300万円が限度)はいっぺんに全額経費にできたりもします。
2.10万円以上かどうかの判定は1つ、または1式でする
たとえば、応接セットを買ってきたとすると、テーブルとイスのそれぞれ1つずつで判定するのではなく、応接セット1式で10万円以上かどうかの判定をします。
また、判定の際の消費税の扱いですが、その事業者が税込経理方式なら税込金額で、税抜経理方式なら税抜金額で10万円以上かどうか判定することとされています。
具体的な金額でみてみると、税込経理方式をとっている事業者は、税込金額99,999円までなら減価償却資産とならず、税抜経理方式をとっている事業者は税込金額107,999円(消費税8%)までなら減価償却資産となりません。
3.基本は「定額法」
法人の経理を知っている方ほど間違いやすいのが、この所得税の減価償却方法の原則が、毎年同一額を減価償却していく「定額法」であるということです。
減価償却の方法は、所得税は「定額法」、法人税は一定率を償却するため年々償却額が小さくなる「定率法(建物、無形固定資産などは定額法)」が原則とされています。
ただし、所得税においても「定率法」を選択したい! という方は、届出をすることによって「定率法」により計算をすることができます。
【届出の期限】
・新たに業務開始した場合など……確定申告期限まで
・既に採用している方法を変更しようとする場合……その年3月15日まで
4.取得価額にいれなきゃいけない費用とは?
一言で表現すると、「使える状態になるまでの費用は、取得価額」とされています。
たとえば、機械が使えるまでにかかった「引取運賃」「設置費」「関税」などはバラバラに経費とすることができず、一旦取得価額へ入れてその後、耐用年数に応じて減価償却をすることになります。
また、その資産のために借入をした場合には、その「借入利子」のうち使用開始日までにかかるものも取得価額とされています(法人の場合は経費でもOK)。
さらに他人から建物を買ってきた際に「仲介手数料」や「立ち退き料」などを支払った場合にも、それらは取得価額となります。
ややこしいですね……。
税法の中でも、取得価額や償却方法、耐用年数をテーマにした専門書が出るほど奥の深い減価償却ですが、お得な即時償却、割増償却、税額控除もたくさんあります。
わからないことがあれば、お近くの税理士や会計事務所へご相談ください!
初出:クラウド円簿(2015.2.19) https://www.yenbo.jp