[消費税で損をする?]
消費税は本来、消費者から預かった税金を、事業者が国に納付するものなので、事業者は基本的には消費税を負担しません。
しかし、消費税が課税されない売上が有る場合には、その売上に係る仕入等に係る消費税は事業者が負担することになります。
これを「損税」と言うことがあります。
例えば、同じ家賃でも、アパートは消費税が非課税、事務所は課税となります。
これを例にとると・・・
非課税となるアパートの方よりも消費税が課税される貸事務所の方が利益が多くなることになります。
アパート経営だから、「消費税の増税は関係ない」なんて事はないので気を付けましょう。
[消費税で得をする]
原則的には、事業者は預かった消費税から支払った消費税を支払う為、損も得もしません。
非課税の売上があった場合には、非課税売上に対応する支払った消費税は、その事業者の負担となる為、「損」をすることがあります。
では、「得」をするとは?
国に納める消費税の計算方法には「原則課税」と「簡易課税」の二種類があります。
「原則課税」では、上記のとおり損も得もしません。
じつは「簡易課税」では、
[預かった消費税-預かった消費税×みなし仕入率=納める消費税]
このように計算されます。
上記の貸事務所の同じ条件で計算をすると。・・・
このようになります。
みなし仕入率は、次の「事業の区分」ごとに、それぞれの割合となっています。
- 第一種事業(卸売業) ・・・ 90%
- 第二種事業(小売業) ・・・ 80%
- 第三種事業(製造業・建築業等) ・・・ 70%
- 第四種事業(その他の事業) ・・・ 60%
- 第五種事業(サービス業等) ・・・ 50%
- 第六種事業(不動産貸付業等) ・・・ 40%
- 詳しくは割愛しますが、大きく分けると上記のようになっています。
簡易課税の計算では「事業の区分」重要
簡易課税で納める消費税の金額は簡単に言うと次のようになります。
「卸売業」は売上に対する消費税の10%
「小売業」は売上に対する消費税の20%
「製造業・建築業等」は売上に対する消費税の30%
「その他の事業」は売上に対する消費税の40%
「サービス業等」は売上に対する消費税の50%
となっています。
「自分の事業は、家電品の小売だから売上の消費税の20%を納めればいいのか。」と安心したり、「自分は自動車修理業だから売上の消費税の50%も払うのか」とがっかりしないで下さい。
この「簡易課税」は請求の仕方や帳簿への記載の仕方などで、「納める消費税」が変わってくる可能性があります。
例えば「家電品の小売業」のケースでいえば、商品を販売したときに、その販売した先が「事業者」ある場合にはそれは「卸売業」と判定されますし、エアコンを販売して設置する工事まで請け負った場合には請求書などに区分しておかないと、エアコンの販売額まで「製造業・建設業等」と判断される可能性があります。(明確に区分されていないと、一番税額が多くなるように判断されます。)
また、「自動車修理業」のケースでは、例えばタイヤ交換の例で言うと「タイヤの販売」と「取り付け工賃」を明確にすれば、「タイヤの販売」は「卸売業」や「小売業」、「取り付け工賃」は「サービス業」となり、納める消費税が少なく済みます。
上記以外でも、請求の仕方や帳簿への記載の仕方などで「納める消費税」が変わってくるものはたくさんあります。気をつけて請求書・帳簿等を作りましょう。