相続税の申告期限
所得税の申告期限が、毎年3月15日であるように、相続税にも申告期限があります。相続人が相続があったことを知った日から10ヶ月以内が申告期限となります。
10ヶ月もあったら「相続税の申告は期限に余裕があるなー」と思いますか?実際には10ヶ月では終わらないケースが多々あります。それは必ずしも「相続税の計算が大変だから」だけではありません。
なぜなら「遺産分割」に時間がかかる場合があるからです。相続税の計算は遺産の総額だけでは決まらず、誰がどのように取得したかも計算に関係してきます。
スムーズな相続のために
相続人が複数いる場合などはお互いの利害が対立し、場合によっては遺産分割が相続税の申告期限に間に合わないときがあります。
分割が終わらなかった場合には、法定相続分により相続財産を取得したものとして相続税を計算・申告します。
この場合、相続財産が分割されていれば受けることが出来た特例(小規模宅地の減額・配偶者の税額の軽減)を受けることが出来ず、分割が終わっている場合よりも多くの相続税を払わなければなりません。
その後、一定期間内に分割できれば「修正申告」「更正の請求」をすることで特例の適用を受けることも出来ますが、出来るだけ申告期限内に分割し、申告するほうが金銭的にも労力的にも良いと思います。
そこで、少しでも遺産分割がスムーズになるよう「遺言」を残しておくことお勧めします。
相続人が納得する?
しかし、遺言があるからといって、必ずしもスムーズに相続が進むとは限りません。
例えば兄弟が3人いて遺言に「長男にすべての財産を相続させる」という遺言だったらどうでしょう?
財産が相続できない2人の弟たちは面白くありません。
「遺留分の減殺請求」をしてくるかも・・・
「遺留分」とは、最低限相続人が財産を相続することが出来る権利で
① 直系尊属のみが相続人である場合 ・・・ 相続財産の1/3
② 上記以外の場合 ・・・ 相続財産の1/2
つまり、子ども3人が相続人の場合には、1/2は遺言に関係なく兄弟3人が法定相続分で相続をする「権利」があります。
もちろん、遺言を尊重して長男がすべて相続するケースもあるでしょうが、不満を持った兄弟たちが弁護士さんに相談にいくと・・・
最終的には裁判、さらに、兄弟3人が喧嘩別れなんてことにも。
「完全に平等に」とはいいませんが、後で揉めない様によく考えて専門家等に相談して「遺言書」の内容は慎重に。
子供がいない人こそ遺言を
また、自分には「子供がいなく、相続人は妻しかいない。」と思っている人は注意が必要です。子供がいない場合には「親」が、親もいない場合には「兄弟や兄弟の子供」に相続権が生じます。この様なとき遺言書がないと、思ってもみない人間に財産の一部を持って行かれる可能性があります。(兄弟や兄弟の子供には遺留分が無いため、遺言を残しておくと安心です。)
節税の為にも
また、最近では「遺言」があった場合には「相続税」減税も検討されているようです。
節税のためにも、残された遺族が揉めることを防ぐためにも「遺言」を残すことを考えてみてはいかがでしょうか?